亀野の言葉を選ばない雑記帳

かめのが徒然書くところです。真面目なことからパッパラエピソードまで。

WAIS-IVを受けた話 前編

※前編と言いつつ、受けたきっかけとなった私の問題点列挙記事なので検査の感想とか内容だけ見たい方は直接後編へどうぞ。

 

kameno-ryo.hatenablog.jp

 


先日、知能検査を受けた。

受けるきっかけは私が精神科の主治医に希望を出したからである。というか元々いつか受けてみたいとは思っていたのだが、私の人生や転職の難航っぷりや、万年金欠の私が奇跡的に余裕を得たことから予定を前倒しにしただけである。
早い話が、発達の凹凸をこの際ハッキリさせようという話だ。

 


受けたかった理由という名の自分語り

 

苦手分野について

私は、一般人がびっくりするほど成績が偏っていた。
数学が死ぬほど苦手なのだ。
そして文系教科、特に国語は学年どころか全国でも上位クラスだった。

中学生あたりからその片鱗は見せていたが、高校に入ってからそれは顕著になった。
高校入学翌日の某ベネッセのテストで、国語の校内偏差値は74.9、対する数学は9.8であった。


もう一度言う。数学の校内偏差値は9.8だった。


自惚れ話をする訳ではないが、私の高校は市内公立で一番、県内でもまぁまぁの進学校だった。だから学内平均点は全国平均比では高めだろうし、校内偏差値は一般的な模試で出る全国偏差値より多少低めに出ると思う。
……それにしても1ケタって何だ。「存在するのか1ケタ」と当時の私は死ぬほど笑った。そして親への説明に悩んだ。

 

だいたい、入学翌日のテストだから、出題内容は中学までの範囲だ。
こうして、私がどうやって高校に入ったのかは永遠の謎となった。

 

国語の校内順位は1位。数学は327位。学年トップと最下位を同時受賞の栄冠。
国語は「東大京大レベル」なのに数学は「基礎基本養成レベル」。

 

この偏った成績は在学中もだいたい変わらなかった。
どっかから聞いた話によると、あまりの偏りっぷりに職員室でも話題になっていたらしい。そりゃある意味問題児でしょうよ。
数II・Bも必修の学校だったのが災いし赤点どころか0点を取りまくり、進級が危ぶまれたこともある。ありがとう当時の教科担任様。6時間も個別で教えてくれたことは死ぬまで忘れません。


今でも数学というか算数、数字への苦手意識は強い。
例えば暗算が苦手で、2ケタ+2ケタ以上の内容は筆算させてほしい。繰り上がりの数字を覚えられない。
そもそも数を数えるのが苦手だ。整列していない人数をカウントするのはかなり難題である。派遣バイトで予定になかったカウント業務を課せられた時は絶望した。
数字見た瞬間にアレルギー反応起こす。得意な人に任せたい。私は自分の得意分野で頑張るからお願いしたい。そんな気分。

 


得意分野について

反面、国語をはじめとする文系教科はおおむね出来が良かった。
というか暗記が得意だった。
世界史は年号(=数字)以外暗記できるし、受験加点になるからと漢字検定を受けた時も余裕だった。
数学以外で学校で習ったこと、日常の中で覚えたネタはまず一度で覚えて忘れないからだ。

 

暗記は得意なのと実験大好きだったので理科も中学までは得意だったが、高校理科はさすがに計算要素から逃れられず点数を落とした。
読解問題も得意というか、もう本文に答えが書いてあるのだから間違えようがない。特に選択式ならサービス問題だ。文章を読むスピードが速いことも相まって、困ったことはまず無かった。

 

また、どうでもいい雑学も私の得意分野である。
何か話を聞いていると頭の中のパスが高速で繋がり、関連するネタが次々と出てくる。「そういえば」「関連して」「もしかしたらこれも関係するかも」が浮かぶのが速い。しかしこれは結構ウザがられることもあるので利点だけという訳でもない。
多分記憶の繋がる速度と効率が高いのだと思う。嫌なことも思い出しやすいが。

 

この辺に関しては、好きなことに関して努力が要らないというより、そもそも好きなことに対する努力を努力と思わないで作業できるという性格もある。
例えば趣味に関するスキル(最近だとゲームスクリプトなどPCスキル)は習得が大変だろうが延々とやっていられる。
それから、知識欲は異様なまでにある。ジャンルは問わない。数学は理解できないがそういった概念があるのだと知ることは好きである。
国語辞書は読み物だと今でも信じて疑わない。

 

だから大学の「好きな授業だけ受けられる」システムは非常に快適だった。
心理専攻故にどうしても統計学が必修だったため数字への苦労はあったが、パソコンは使えるし、統計学そのものは嫌いではなかった。卒論執筆や大量の先行研究調査も、常に新しい知識を食べ放題というようなものなので非常に楽しかった。
高校まで5教科を一斉に横並びに学ばされるシステムは理不尽だと考えるようになったくらいに。


まとめると、
 得意なこと・好きなことへの能力は普段以上に高く、
 苦手なこと・嫌いなことへの能力は人並み以下になる。

 


それから、能力以外の問題として。

  • 人混みで人と会話することが難しい

どんなに相手の話に集中しようとしても、周囲の雑音が邪魔をしてくる。俗にいうカクテルパーティー効果が働かない。雑踏はもちろん、酷い時は教室程度の音でも全く会話が成立しない。
あと携帯電話は使えたためしが無い。外で電話取っても聞こえないから。イヤホンしてワンチャン。結局自宅以外から電話をかけることはほぼ無い。「携帯」電話の意味。

 

  • 「突然のこと」が非常に苦手である。

トラブル、予定変更はもちろん、「急に鳴るもの」も苦手である。
早い話が電話が死ぬほど嫌いだ。ただでさえ人と話すのは苦手なのに、「急に鳴った電話を取る」という段階を経なければならないので、動揺しながら会話しなければならない。
そのせいか、電話口での人の声が上手く聞こえないことがある。
オフィスワークに不向き。
あと自動センサー類が昔から苦手である。最たるものがトイレの自動水洗。そして音姫。急に動き、音が鳴るからである。おかげで外出先のトイレが未だに苦手で、都会へ行くのをトイレ嫌いによって避ける。
っていうか今のトイレって喋るじゃん。「このトイレは、便器から離れるかドアを開けると自動で流れます」とか。あれマジで怖い。
今は平気だが幼少期は自動改札、自動ドアもダメだった。怖くて駆け抜けてた。

 

  • 感覚過敏気味

前述の音に加えて、光・嗅覚もそこそこ人よりあるなと思う。誰も気にしないものが苦手だったりする。
例えば、暗い部屋で見るプロジェクター。眩しくて結構辛い。大学の授業が大変だった。

 

  • 集中力が高い

これはよく就活で長所短所を挙げろと言われた時、表裏一体としてネタにする。
一度何か作業を始めれば食事とトイレは平気で忘れるし、夜になったことに気づかず真っ暗な中で作業していたということは日常茶飯事だ。
そして、このモードに入ると人の話を9割受け付けなくなる。弟に「風呂空いたよ」と言われても言われたことすら覚えていない。何もしてないように見えて思索を巡らせていることも多いので、結果として「話しかけても反応が鈍いぼんやりした奴」と思われることもあったりする。

 

  • こだわりが強い

自分の信念、倫理観がひたすら強すぎて時に自分さえ縛っていく。曲げなさ過ぎて、入った会社に2ヶ月で不適応を起こしたり、3日で内定蹴ったり。
(会社のあれこれはまた別の日に語ろう)


他にも性格とか思考パターンがズレてる話は多いのだが、キリがないので割愛する。
ここまで読んでくださった方々で勘の良い方は気づいただろうが、この傾向はいわゆる「発達障害」の傾向にどれも当てはまる。
というか、発達障害じゃね?という話は実は私が中学生の頃から身内では上がっていた話題だった。杓子定規すぎとか。しかし、当時の担任がそれを否定したことや、母親の病院嫌いもあって特に検査などはされず放置され続けていた。
そして、放置しているうちに大人になり、広い社会に出ざるを得なくなり、様々な問題に発展してしまったのである。

 

さて知能検査を受けて、発達障害ですーとか、IQが高いよ低いよーという診断が出たとして。
それが今まで語ってきた凸凹に対して何の役に立つのだろうか?
一応臨床心理学をかじった青二才として、また自分に言い聞かせる意味でも述べておこう。

直接的には何の役にも立たない。もう一度言う。直接的には何の役にも立たない。

 

もし診断名が出たとして、それは私の中にある凸凹の存在を医学的・心理学的に証明したに過ぎない。
そして残念ながらこの手の障害は治らない。治療法は無い。(ADHDなど一部は薬で抑えることは出来るが)
病名や検査結果証明書があったところで、この資本主義の国で社会の中で生きなければならないことは変わらないし、一般の中に頑張って混ざらなければならないのだ。
ハンデを得ようにも、病名をオープンにするのには相手によってはそれなりの覚悟も必要だ。

これは気分障害の診断を受けた時にも痛感した。

 

ただ、その一般人の中に混ざりやすくするヒントは得られる。
知能検査の結果で重要視すべきは、知能の数値そのものではなく「点数の高いところと低いところの差」と言われている。
何が苦手で何が得意かを見ろということだ。それが分かれば穴をどう埋めるか考えられる。

 

やや強引な例えだが、私の偏差値は国語は74.9だが数学は9.8だ。ものすごい差だ。
5教科7科目テスト必須の国公立大と、国語・英語・社会科で受けられる私大。レベルが同じならどちらを進路に選ぶのがより「やりやすい」だろうか。
学費などの問題もあるから一概に言えないが、ここまで振り切れているなら文系特化で国語の取りこぼしを潰し、英語と社会科の点数を伸ばすことに注力して私大を目指した方が望みもあるし、何より「あまりにも出来なさすぎる数学との対峙」を避けられるので本人のストレスは少なくて済む。受験うつなどの二次災害も防げる。

 

逆に言えば、自己分析程度の役にしか立たない。私は自己分析大好き野郎なので問題ないが。

 

そんな感じで、「自分を分からないまま生きるのは怖いし、多分損が増える」という雑な理由とアホみたいに強い好奇心(=野次馬根性)で知能検査を受けることになった。ここまで長く書いておいて3行で済みそうな酷い話。