亀野の言葉を選ばない雑記帳

かめのが徒然書くところです。真面目なことからパッパラエピソードまで。

WAIS-IVを受けた話 後編

 

 

kameno-ryo.hatenablog.jp

 

前編。
要約:あまりに生きづらいから検査受けることを決意したよ。


受けたのは3月下旬。予約したのが2月の定期通院の時だから、1ヶ月くらい後になったのかな。あまり待たずに受けられた。
2日間に分けて実施するのだが、平日しか検査を行っていなかったので社会人は大変だと思う。こういう検査に興味があるなら時間の都合がつけやすい学生の方が良い。早期発見のためにも。なお私は休職中である。


私が受けたのはウェクスラー式知能検査成人版の最新第4版。略してWAIS-IV。日本語版は2018年に出たばかりの新しいテストだ。ただし原典の英語版はもっと古い。
これは最も一般的な知能検査の一つである。(他はビネー式、キャッテル式が有名どころ。全部作った人の名前。数値の出方がちょっと違う。)
おそらく心理学部の学部生が習い、実習や読み解きをさせられるテストがこのウェクスラー式である。私もやった。
3版から構成が結構変わったのは、まあどこか他のサイトや専門書に説明を任せたい。今回書きたいのは主に感想なので専門的説明は省いていこう。専門バカは説明が長くなりがちだから。


受けたのはかかりつけの某大学病院。こういうとき常勤のカウンセラーのいる病院は便利だ。
知能検査含む心理検査は心理士でないと実施できないため、カウンセラーのいない小規模なクリニックでは外部機関へ紹介してもらって受けることになるらしい。
慣れた環境で受けたいもんね。院内で受けられたのはありがたい。
あと、私の友人は児童相談所併設のカウンセリングルームで受けたらしい。最近は発達障害の認知度も上がって行政でこういうサービスあることもあるから確認しよう。
あとは心理系大学院併設の一般向け相談室でも受けられたりする。ググろう。

 

今回は
・WAIS-IV
・SCT文章作成テスト
・AQ(アスペルガー質問紙)の本人用と保護者用(母が回答)
の3つと、
・心理士さんと私と母の三者面談という名の検査面接
の4つの検査である。このうちSCTとASQは宿題として自宅回答した。

 

検査初日~WAIS~

病院がそこそこ遠方なのと、検査が朝一番なのでかなり早くに起きねばならず、朝の弱い私は予約を取ってから1ヶ月間ずっと不安だった。前日は遠足が楽しみな小学生くらいソワソワした。
翌日は謎のテンションで目覚まし時計より早く朝5時に目覚めた。ねぼすけの私が。小学生じゃん。

心理士さんが
「このテストは長いと2時間程度かかることがあります。睡眠不足や体調不良などコンディションに問題はありませんか」と聞いてきたとき、
「(なんかハイになっちゃって朝早く目覚めすぎたけど)大丈夫です」と答えたのは笑うところです。

 

ここから、どんなもんか不安だとか気になる方の参考になればと書いていくが、検査の公正を期すために心理検査の問題は外部に漏らしてはいけないため、残念ながら具体的な検査内容は書けない。申し訳ない。頑張って書く。

WAISの回答は一部の問題を除き、口頭である。
選択式だったり、論述式だったり。
多少鉛筆を使う問題はあるが、筆記というほどのものではない。条件に当てはまる記号をチェックするとかその程度。
あとブロックで指定の図形を真似て作る作業問題もある。

ざっくり分けると知識を問う問題、その場で思考して答えを導く問題とに分かれるが、これは「結晶性知能」「流動性知能」という言葉を調べるとなんとなく分かると思う。「言語性IQ」と「動作性IQ」でも良い。
ただし、最新版WAIS-IVは言語性・動作性IQの概念を撤廃したのでこの数値そのものは出なくなったので注意されたし。

ちなみに検査は結局2時間半かかった。時間制限の無い問題があるので、そこで長考するとその分延びるのである。
最後に感想を心理士さんにお話しした。○○が苦手に感じた~とかそんなん。

終わった後は疲れていないかなど、医師の軽い診察を受ける。

宿題として質問紙のSCTとAQを受け取って、次週までにお願いしますということで帰宅。


最初に説明もあるが途中休憩は無いため、緊張しいの人は喉が渇く。トイレも先に済ませよう。
クイズ番組は家族ぐるみで好きなので楽しかったが、2時間半ぶっ通しはさすがに疲れた。
しかしきっと一番すごいのは、出題しながら私を観察して記録も付けて、私ののんびりな回答に合わせて休憩なしで戦い続けた心理士さんである。つよい。

 

宿題~質問紙~

AQは4点法のテストで、発達障害、特に自閉傾向についての質問紙である。
物事に夢中になりすぎるとか、強いこだわりがあるかなどを「そうである」「どちらかというとそうある」「どちらかというとそうではない」「そうではない」の4段階で答えるから4点法。
これを私本人が記入するのと、保護者兼同居人として母が回答するもので2種類。
余談だが、母が先送り癖を発動して提出前日の夜に回答した。何度もケツを叩いたというのに慌ただしい……。


SCTは性格検査の一種である。投影法という自由度の高い検査な仲間で、有名どころだとロールシャッハなんかもこれである。

私は____。

というような出だしだけ指定された文章の空白を埋める。それだけ。シンプル
ただし問題数がそこそこあったので疲れた。最近すっかりペンで文字を書かなくなっていたからな……。


以上のように、複数のテストを受けてその結果を複合的に検査することをテストバッテリーと言います。テストに出るよ。

 

面談~私と母と時々心理士~

WAISの1週間後、再び病院へ行く私、その横には母。
母の急用で時間を前日に急遽変えてもらったり病院に迷惑をかけつつその日を迎えたのであったーー。

この日は朝から面接。
目的はズバリ「成育歴」である。
つまり、私がどのように生まれて育ったか、「本人に記憶の無い部分は親御さんに聞きながら掘り下げましょうの会」である。

母子手帳は病院側から持参するように指示された。
他にも、必要を感じれば通信簿なども役立つだろう。私は伝説の偏差値9.8のテスト結果を持っていった。

ちなみに妊娠中の経過から話は始まる。母体の体重増加は適切だったか、妊娠中タバコ吸ってたかとか、通常分娩だったかどうかなども聞かれる。
それから、言葉は何歳だったか、外遊びは好きだったか、幼稚園や保育園に何歳から通ったか、そして各年齢でのエピソードなどなど。

懐かしい思い出話のようににこやかに話される場面もあれば、母や私が泣き出す場面もあった。
特に小学校後半は碌な思い出が無いし、ひとつひとつ思い出しながら話していくのはなかなかダメージが大きい。
いじめから脱出できる、とせいせいと笑っていたと思った小学校の卒業式の私の笑顔が「貼り付けた仮面のようだった」と母が泣き崩れたシーンを、私は忘れられそうにない。そんなふうに映っていたのか。
新たな発見もありつつ回想していく。

母はお喋りな方なので母の発言量に困ることは無かったが、時系列順に話しているのに脱線事故を起こすので何度も修正するのが大変だった。

面談後、医師の軽い診察を受けて終了。どうしても話題が暗くなりがちなので、気持ちが落ち込んでしまう被験者もいるらしい。


23年の人生を3時間で回想するのはかなり体力気力を消耗する。面倒な人生を歩んでいるなら尚更。
知能検査と別日程で実施する理由を死ぬほど体感した。帰ったら全身が重くて寝た。
数日間疲労から回復できず、眠気が取れなかった。

 

結果は4月末には出るということで、楽しみで夜しか眠れないぜ!

ぶっちゃけ、試験は受ける前より受けた後の方がプレッシャー受けるタイプなので、笑い話抜きで震えている。

 

料金

初日 1130円

面談 210円

合計 1340円

 

案外かからなかった。というか面談3時間はかけて心理士さんを水分休憩も無く縛り付けたはずなのにこんなに安くてちゃんとお給料貰ってるか不安になった。

病院で受ければ保険が利くので割と安く済むようだ。いや保険が利いてももっと高いと思った。不安だったから受ける前に値段聞いたし。聞けることは何でも聞くが吉。