亀野の言葉を選ばない雑記帳

かめのが徒然書くところです。真面目なことからパッパラエピソードまで。

精神科の薬の調整はさながらカードデッキ構築

薬の苦労は精神科に限った話ではないけれど、こと精神科の薬というのは難解である。

 

その大変さは、M○Gとか遊○王みたいなカードゲームのデッキ構築に似ていると、Twitterで誰かが言っていた。
(リンクを貼りたかったが元ツイを見つけられなかった。)

 

理由は色々。

 

  • 治療薬の開発が進み切っていない。新薬がガンガン出る。
  • 新薬の方が効く人もそうでない人もいる。
  • 同じうつ病だとしても原因・症状が皆バラバラ。
  • 長期使用しがちなので耐性の問題もある。
  • 患者の環境によって病状が大きく変わることがある。その度にデッキ再構築。

 

こんな感じで、自分に合った薬を探すのが大変なのだ。

私も結構色々やってきている。
ここでは私の体験談を時系列に並べて、お薬デッキ構築はどういう作業なのかの例としたい。
あと備忘録も兼ねる。


【注意】
以下の記述はあくまでも「私にとっての最善」です。
人によって薬への感受性や体質は異なり、副作用も異なります。
この薬が悪い、という意図はありません。
気になることがあれば医師や薬剤師に必ず相談してください。
あと私は貧乏学生だったので使えるならジェネリック医薬品。その場合カッコ内に先発名。
ただし字数が少なくて済むので本文中は先発名。

 

2016年12月上旬 通院開始(大学3年冬)


ゾルピデム酒石酸塩(マイスリー)5mg
ロフラゼプ酸エチル(メイラックス)2mg

当時の症状は「寝つきの悪さ」と「強いストレスからの異常行動」だったので。
最初だし緩めの薬で様子を見る。
マイスリーは短時間型の睡眠薬入眠困難に使われるもの。
パキっと効いてパキっと抜ける。
私は寝つきが悪く酷いと明け方まで寝付けないものの、一度眠れば中途覚醒は無かったのでこんな処方だった。
薬にも慣れていないし半月分。


2016年12月下旬


ゾルピデム酒石酸塩(マイスリー)10mg
ロフラゼプ酸エチル(メイラックス)2mg

半月後。マイスリーを増量。
寝つきがなかなか改善されてなかった。


2017年1月


薬の内容は変わらず。
慣れてきたのでここからは異常無ければ1ヶ月に1度の通院になる。


2017年3月


ゾルピデム酒石酸塩(マイスリー)10mg
ロフラゼプ酸エチル(メイラックス)2mg
エチゾラムデパス)1mg 10回分

家庭環境が荒れ模様だったりで不安定な日が多く、頓服薬としてデパスが出た。
極度のストレスが発生した時に飲む「パッと効いてくれる抗不安薬」といったところ。


2017年4月(大学4年)


ゾルピデム酒石酸塩(マイスリー)10mg
レメロン15mg
ロフラゼプ酸エチル(メイラックス)2mg
エチゾラムデパス)1mg 10回分

ストレスが全く改善しない。
鬱が酷くて抗不安薬メイラックスでは弱すぎると中止。
そして抗うつ薬のレメロンという比較的新しい薬を試すことに。
ジェネリックが無くて高かった。当時はしんどかったよ……。
「レメロンは良い薬だけど、女の人は体重増加を嫌がるんだよね」とは主治医の談。
しかし、ストレスのあまりに前年度より痩せて学校の健康診断に引っかかった私としてはまあ良いかなということになった。

レメロンはなかなか有用だったが、初日3日は死ぬほど眠く、授業が大変だった。
この眠気は3日を越えると楽になる人が多いらしい。不思議。
頑張って慣れるしかないとはいえ、授業や仕事がある人は周りの理解も必要だと思う。
私はこの頃大学に配慮願を提出し、病気や副作用による急な体調不良に備えていた。
使える制度は使い倒そう。


2017年6月


レメロン15mg
エビリファイ3mg

色々限界に達して精神が死にかけていたため、薬デッキを大幅に変更。
エビリファイって抗精神病薬のイメージが強くて、低用量だとうつ病にも適応があることをこの時初めて知った。


2017年7月


レメロン30mg
ゾルピデム酒石酸塩(マイスリー)5mg
クロチアゼパム(リーゼ)5mg
エチゾラムデパス)1mg

エビリファイが身体に合わなさ過ぎてもう再構築。
吐き気、眩暈、動悸、代表的な副作用は全部出た。
こんなこともある……。
構成を4月のものに戻し、レメロンを増量、マイスリーは減量。
レメロンは高い(2回目)。しかも倍になったので更に高い。
ありがとう自立支援医療制度。

また、授業中に眠さが出ると困るとの訴えから頓服を2種類状況に応じて使い分けることに。
リーゼは効果が弱めだが副作用も弱い。あまり眠くならない。
デパスは良くも悪くも強め。家庭内の喧嘩の直後など、眠っても困らない状況で使用した。


2017年9月


構成は変わらないが多少精神安定の兆しが見えたため、
頓服をあまり使わず余した翌月はそれを主治医に報告し、残りを使い続けていた。


2018年1月


落ち着いてきたのと、体重がだいぶ増えたのでレメロンが30→15mgになった。
ちなみに体重は
4月:47kg
1月:57kg
10kgはさすがに増えすぎた。身長156だし。
急激な体重変化で肉割れ、俗に言う妊娠線が出来た。妊娠してないってば。
個人的な感想として、レメロンって食欲が増える。
鬱で食欲が減ってしまった時にはむしろありがたいんだけど、増えすぎて別の病気になるのも問題だよね。という。


2018年3月


ゾルピデム酒石酸塩(マイスリー)5mg
レクサプロ10mg
エチゾラムデパス)頓服1mg

就活などにより対人不安の症状による不都合がより顕在化。
それにより対人不安により効きやすいレクサプロが処方された。
SSRIという新薬である。ジェネリックが無い。

そしてレクサプロとの相性の関係で慣れ親しんだレメロンさんとお別れすることに。
当時の私はこれが滅茶苦茶不安だった。
過去にエビリファイが非常に合わなかったという経験もあり、また辛い副作用が出たら嫌だなという気持ちでいっぱいだった。

一般にレクサプロは胃腸症状が出やすいと言われる。
開始2週間は軽い吐き気やら食欲減退(これはレメロンで増えてた食欲が戻った分もあると思う)でちょっとげんなりしたが、慣れてくるとかなり楽になった。
社交場面も前より苦痛ではなくなった。


2018年6月(大学卒業してる初夏)


レクサプロを20mgに増量。
この頃には体重は52kg程に落ち着いた。良かっただいたい元通り。
ストレス痩せ→体重増加→元通りという動きのせいでやっぱり肉が割れる。
体重変化そのものはそこまでではないけど、短期間の落差の問題である……。


2018年12月


頓服のデパスアルプラゾラム(コンスタン)0.4mgに変更。
そしていつも頓服は10回分だけ貰っていたのを30日分に増量。
これはこの頃に就職出来ないストレスでキリキリしていたこと、
またレクサプロが切れかかる時間帯に身体のしびれが出ていたためによる。
しびれに不安を抱えて尚更酷くなるし。
デパスより長めに効く薬として選択。
ってかレクサプロの半減時間そんな短くないはずなんだけど。個人差もあるから仕方ない。


そして新時代へ……
(そして伝説へ……のノリ)

 

 

以上。
たった2年間でこんなにもお薬デッキをカスタマイズしているのである。
細かく考えて下さる主治医には頭が上がらない。
ってか主治医めっちゃ良い人です。

大学内でのストレス、家庭内、就活。
たった2年でも状況は変わる。
とにかく死なないように気持ちを持ち上げなくてはならない時と、
特定の不安が強すぎて不適応を起こし、それへ特化して対処しなければならない時がある。

そして精神科の薬は性質上、長期服用になりがちだ。
耐性が出来てしまうことがある。
その時は増量するなり、似たような効き目で作用機序の異なる薬を持って来なければならない。
(もちろん、薬以外の治療や環境調整も必要だ。)

そして1つの薬を変えると、相性の問題で他の薬も変えなければならなかったりする。
どんなに慣れ親しんだ頼もしい薬も、他との相性故に中止になることもある。
そうするとやはり、飲み始めの副作用に泣かされることもある。
私にとってのレクサプロがまさしくそれだ。今もお世話になっているが、最初は吐き気が辛かった。


そんな訳で精神科の薬物療法は環境に合わせ、時の流れに合わせ、構築を繰り返すことになる。
まるでカードデッキとはよく言ったものだと思う。

 

ぶっちゃけ平成から令和の「そして新時代へ……」が言いたくて書いた記事でした。