亀野の言葉を選ばない雑記帳

かめのが徒然書くところです。真面目なことからパッパラエピソードまで。

亀野家ワクチン大騒動の巻

こんにちは。亀野です。
昨今騒がしいcovid-19、こいつのワクチンをようやっと受けることが出来ました。が、一悶着も二悶着もあったので愚痴半分メモ半分につらつらすることにします。

 

以下、主な登場人物(データは騒動のあった8月ごろのもの)

:60代。飲食店勤務。職種柄職場でもとっととワクチン受けろと言われ、また年齢的にも比較的早く受けられた。大騒動のほぼ蚊帳の外だった人。持病なし。どうにも感情が希薄。無口で家族との交流が少ない。緊急事態宣言中は店が閉まってしまい長期休業になってしまって収入減で(母が)てんやわんや。
:50代半ば。営業職休職中。喘息や自己免疫疾患を含む4つだか5つの持病を持つ、我が家最高の新型コロナハイリスク者。ちょっとした風邪でも10日は寝込む体の弱さ。しかしとにもかくにも医者嫌い薬嫌い。自然治癒力を何よりも信じている。この人のおかげで我が家の常備薬には鎮痛剤さえ無い。
:25歳。学童勤務。職場感染リスクの高さに毎日胃痛が止まらない。小学生時代に近視が始まった時、母が毎日大量の冷凍ブルーベリーを食わせてきたのが若干のトラウマ。鬱持ち常用薬あり。
:23歳。高卒ニート5年目。経歴はともかく精神的にはこの家族の中でたぶん一番まとも。
母の主治医:母の持病の主治医。母とついでに私と弟のワクチン接種をしてくれた。

 

【前哨戦】

ワクチン接種が始まるよ~なニュースが流れる中、さっそく亀野家内部は真っ二つに割れていた。
謎のワクチン怖い!スパイクタンパク!死ぬかも!と怯えて変なYouTube見て拗らせた母。
とりあえず情報ソースYouTubeはやめろと宥める私と弟。


そんな中、ワクチン接種券届いたらうちで打てるからね~、いつ打つ?と母の主治医。
持病×4の母に対して当然っちゃ当然だが、主治医的には「よもや『打たない』とは言わないだろう」という感じだったようで、その態度にも不安を感じる母。いやそりゃそうだろ。
私ももちろん遠回りにだが勧めておく。しかしこの話題出るたびにギスギスするので、亀野家では次第にワクチン=アンタッチャブルになりつつあった。


意識にズレを抱えたまま、とうとうワクチン接種券が届いた瞬間、亀野家の論争……いやもはや論でさえない言語の殴り合い大爆発することになる。

ご存じYouTubeには一度見た動画の関連動画をお勧めする機能があり、おかげでチケットが届く頃には母がすっかり陰謀論に染まってしまったのである。
母が見たYouTubeチャンネルを見れば、自然療法やらホメオパシーの文字。ああこいつはダメだとげんなりする私。
打つか打たないかは病状を見つつ様子見で構わないからとりあえず変な情報ソースを見ないでくれ、と頼み込むことにする。(忠告という形だとさらに頑なにるので)

どうも反ワクチンのH.M.という医師の本を昔読んだとかなんとか言っていたので、ソースを調べてみる。すると当該医師は確かに実在するものの、データは彼女が反ワクチンを主張し始めた80年代のものがずっと使われているし、そもワクチン後の死亡例の第三者報告も読んだが関連性は薄い。これを……実母が信じていたのか……20年近く……と目眩を覚えながら、それを噛み砕き極力喧嘩を売らないよう努めながら説得する。
そういえば私はHPVワクチンも打ってないんだが、その辺もこの医師の本の影響だったのか……溜息しか出ねえよ。実際あれは副反応が騒がれて積極的接種は取りやめになった(そして『ほれみたことか』で母が更に拗らせた)んだが。うん何とも言えない思い出話をしたな。すまない。

陰謀論だと言えば起きたことから目を逸らせる」「陰謀論に陥る人間を浅はかな者だと見下してる」「お前たちは私をバカにしている」「お前たちこそ陰謀だと植え付けられてる」「平等な目で見ろ」「ワクチン打てば良いんでしょ打てば!(キレ)」
姉弟で匙をぶん投げた。

ちなみに父は年齢が多少の優先枠に入ったためわりとさっくり予約を取ってさっくり打ち副反応もないままフルチンとなった。父がフルチンってなんか嫌な文字列。ただし予約は母が全部やった。彼はネットは一切使えない。

その後私や弟が対象の若年者のワクチン予約が始まるも、枠は満杯。全く予約が出来ない。私一応福祉従事者なんだが!?
そうこうするうち、東京をはじめ日本全国のコロナ感染者数は爆増。さすがの母も多少ビビったのか冷静になったのか。
母が主治医に「お子さんも一緒に打ってあげるよ」ともう一度言ったのが効いたのか、母は自分含めて家族3人の接種を決めた。

ノリと勢いに助けられてワクチン接種が決まり、何よりも母が受けてくれるなら心強いと私は心底ほっとしていたのである。
接種前々日、「最新技術を試せるんだぜ!?ワクワクしてきたぞ!」と言ったら母に怒られた。曰く「気にしないようにしてるんだから!」とのこと。私としてはそのくらいネタにしてないと不安という心境もあったのだが……アンタッチャブルだなとその後は黙った。
「まあ、こういうのは一番気にしてる奴が一番ケロッと終わらせるもんだ。多分副反応で倒れるなら一番に自分だろう」と目していたのである。あわよくば仕事休んでやると目論んでいた。


【Xデー】

8月X日、母・私・弟は母の主治医の病院へ。
何故か私が一番に呼ばれて打たれて接種後待機室に移される。
続いて弟。私の隣に座ってきた。何か話しかけようかとも思ったが他人もいるし「感染対策のためお静かに」ポスターも貼られている。
私は黙って「ソファーハイバックで最高やなこういうの自室に欲しいわ~」とか思いながら暇だし寝るか、くらいの安静モードに入っていた。
次に母が待機室に入ってきて数分。突然「すいません」と聞きなれない男の声がした。


「ちょっと気分が悪いんですけど」


看護師に話しかけていたのは弟だった。社会的生活をしていない彼が家族以外に話すことなど数年に一回もない。余所行きの彼の声を聞いたのはあまりにも久しぶりだった。

看護師数名がやってきて彼の介護を始める。「注射緊張しました~?」と優しく声を掛けつつ血圧と酸素飽和度を測られていた。
どうも測定結果が芳しくなかったようで、看護師の人数が増える。慌ただしくなる待機室。表に出ていてくれと母以外の接種者が表の待合室に追い出される。
どうも私が座っていた椅子は本当に一番良い椅子だったようで、弟はそちらに移された。電動リクライニングで横にされる弟。彼はぐったりしながらも自分の鞄をつかみ続けていたので、「私が持っておくよ」と声を掛ける。反応が無い。昏迷している。仕方ないので「鞄持つよ」と強めに言って弟の手からひったくって、私も外へ出た。

私は特に何も起こらず接種後の観察時間が過ぎたものの、弟と母がいっこうに出てこない。とりあえず自分の保険証を返してもらいながら「大丈夫そうですか」と聞くと「大丈夫ですよ。一緒に帰られますよね?お待ち頂いて良いですよ」と言われたのでそのまま待合室に座り続けた。ハンカチ取り出して泣いていた。
やっと母だけ出てくる。おかしい。母の方が注射の順番が後だったのだから。
「弟、入院することになった。エピペン2本打って酸素吸入してね。救急車来るから」

 

大丈夫じゃねえじゃねえか!!!!!!!
※あの場で看護師さんに大丈夫じゃなさそうなんて言う選択肢は無いのは当然です

 

もう感情大決壊、パニックに陥った私は人目も憚らず泣いてしまった。なんてこった。倒れるなら自分だろうと思っていたが、いや彼もあれで案外神経が細い、しかしどうしようまさかこんなことになるとは。

母「りょう、一人で帰れる?お父さん電話繋がらなくて。しかもりょうは明日仕事でしょう?どこの病院に運ばれるかこの状況じゃ分からないし。辺境まで運ばれたら……」

私はどうしていいやら分からない。ついていきたい気持ちもある。しかし病院には自転車で来た。明日の通勤にも使う。持って帰らねばならない。
パニックになって吃ってしまう。そうこうするうち救急車の音が聞こえて悲鳴を上げた。
とりあえず顔だけ見ようと思ってストレッチャーで運ばれる弟を見る。顔色はそう悪くない。

「めめめめめ、め、眼鏡かけたまま寝かせていいの、外してあげたら」

訳の分からない事を口走って、父への言付けを任務に私は帰ることになった。
自転車漕いでると多少冷静になり、「なんで電話出ないんだクソ親父携帯持たせてる意味ないじゃないかーっ!」と毒づくくらいの元気は出た。一方で「もしや親父、風呂で溺れているのでは?」という更なる最悪の事態も思いついてしまったのである。
亀野りょう、自転車をかっ飛ばして30分。みんなはワクチン接種後の激しい運動は控えような。お姉さんとの約束だぞ。

帰宅一番、普段絶対出さない大声で「ただいま!お父さんいる!?」と叫ぶも返事が無い。
おいおいホントに風呂で……いや風呂場の電気は消えていたぞ……と心の中の名探偵が呟き、リビング開け放って「お父さん!?!?いる!?!?!?」

父「おう」

いた。生きてた。料理に夢中だったようだ。


私「弟がアナフィラキシーで倒れた。救急車。母さんついてった。電話するから待てって。食事は先に食べろって」
私(この緊急事態に何故電話に出ないクソ親父ィィィィィ)

本音を叩き殺しながら伝言ゲーム。

父「…………」

何か言ってくれ。首を傾げるな。目を見開いたってことは伝わったな?伝わったと判断するぞ?よし。
私もパニくっていてたどたどしい喋りをしているのは自覚している。しかし、父よ、そんな娘を慰める言葉くらいくれ。いやこの究極不器用人朴念仁に情緒的支援を期待するだけ無駄だな。うん。
私は無言には耐えられず友人に電話を掛けることにした。前に公開したゲームの共同制作者である。すぐ出てくれた。有り難いったらない。

 

私「もしもし友人」
友「どうした」(注:基本的に電話嫌いな私は友人相手にも電話という手段をまず用いない)
私「弟がアナフィラキシー疑いで倒れた」
友「Twitter見た」
ツイ廃の会話はだいたい「Twitterでも言ったんだけど」「Twitterでも言ってたねぇ」が挟まるものである。
私「私はパニックだが、父しかいないこの家では精神的ケアが期待できない」
友「なるほど」
私「調べたらアナフィラキシーって100万人に5人って言うじゃん。宝くじでも当てとけよってね。運が良いのか悪いのか。しかもアレルギー発作でエピペン2本ってよほどの場合って言うじゃん。どうしよう」

 

友人には同じ話を繰り返すバグった私に17分付き合わせた。話す相手、大事だと思う。

 

父の作った飯を食ってハラハラしていれば電話が鳴る。母からだ。
母「弟は今日帰れることになった……でもこれ大丈夫なのかしら……」
私「は?入院言うてたじゃん」
母「とりあえず処置終わったらタクシーで帰る」

そして夜もそこそこ深まった頃、母と弟は帰ってきた。歩けているのだからどうも無事なようだ。

母から聞いたところ、

 

・搬送先の病院の先生の見立てとしてはおそらく迷走神経反射による発作
・しかし迷走神経反射では説明がつかない点もないではない
・本当にアナフィラキシーか検査のために採血しようとしたら血管が収縮しすぎて&血圧低すぎて採れなかった
・搬送先の先生的に、2回目のワクチンは(主に本人の精神負担的に)お勧めしない

 

ほぼほぼ迷走神経反射なんだけど、確定診断するためのサンプルが取れなかったので確定診断が出なかったというそんな感じ。
ちなみに血圧は最低50まで下がってたらしい。血圧は60切ったら危篤なんて言われる数値なのでどんな事態だったのかはお察しください。そりゃあ母の主治医も救急車呼ぶわ。

当然の流れというか、弟は2回目接種を希望しなかった。そりゃあ嫌にもなるだろう。
まあ幸い現時点はニートでそうそう外出もしない(この状況、普通によろしくはないのだが)。


そして私と母だけが2回目の接種を受けた。これが弟の身も守ることを信じてである。

あ、副反応は緩かったです。というか私が普段から夕方に発熱する体質なのもあってまあいつも通りの微熱やねっていう。
ただ肩回りは痛かった。突っ張るような感じ。
残念ながら仕事は休めなかったぜ


以上が亀野家コロナワクチン騒動の顛末である。
え?感想?

もう疫病騒ぎはこりごりだ。いい加減にしてくれ。
あと父は電話出ろ

 


どうでもいいおまけ


この騒動が済んで2ヶ月くらい経って10月ぐらい、やっっっっと市から「学童従事者にワクチンの枠あげるよ~」の連絡が来た。
遅ぇわ!!!職場全員2回目まで(人によっては苦労して)取ったっつーの!!!命を預かる職種のくせにほんと後手後手である。それこそ医者や看護師、保健所etc.の人達がコロナ対策に専念できるのはその子どもを預かる俺らのお陰だが???学童でクラスターでも起きたらその家族も外出禁止からのインフラ途絶コンボだが?むしろ俺らがインフラなんだが???
いつものことだがお役所は信用ならん……お役所の子どもも預ってんのにな……。
まあそれもあって転職したんだよ……